31)
※六角堂がむきだしになっている河口湖

さて、ここ河口湖ですが、例の湖の水位低下が話題となっており、最近になって連日メディアで報道をされているようです。

【山梨・河口湖の水位が大幅低下 六角堂までが陸続きに(13/03/20)】
【河口湖に異変が!?水位激減富士山噴火?箱根地震との関連は?】
【河口湖水位激減!富士山噴火予兆との因果関係はあるのか?異変!】

各番組の報道を見ていると、冒頭にもある六角堂の話から、漁業への被害などを最初に取りあげていますが、やはり中心となっている話題は「なぜ、突然水位が低下したのか?」という点になっています。

これについて、地元の人の中には「降水量が少なかったのでは?」「水力発電に湖の水を使い過ぎたのでは?」など、色々と予想が出ているようですが、昨年からの降水量や他の湖と比較しても、特に降水量が関係しているわけでもなく、また水力発電に至っては、昨年の秋から一切湖からは水を取っていないそうです。

すると、やはり予想されてくるのが「富士山噴火の前兆では?」という可能性です。

ただし、これについての見解は各番組において、若干異なるようでした。

というよりは、各番組に登場する専門家と呼ばれる大学教授によって、見解が異なるといったものです。

53)

まず、上記は東京大学の笠原順三名誉教授という方であり、この先生は「富士山直下の地震が急に増えているという現象もないので、直接すぐに噴火というのは心配しなくてよい」という見解を示しています。

28)

また、この教授は、大地震につながる兆候もないとも断言しているようです。

ただ、この教授の見解だと、結局のところ水位の低下については、何が原因かはよく分かっておらず、もしかしたら湖の底に亀裂が入って水が抜けている可能性もあるかもしれないといった程度で、それも何が原因で起こっているかはわからないといった話でした。

さすが、東大の名誉教授であり、とにかく言っていることが、一般人にはあまり伝わらないし、よく意味がわからない内容でした。

40)

一方でモーニングバードなどでも登場している、武蔵野学院大学の島村英紀特任教授は、どちらかといえばまったく逆の見解を示しており、「地下のマグマはつながっていると思うので、河口湖の異変と富士山・箱根山が関係ないとは断言できない」と仰っています。

27)

そして、水位の低下に関しては「河口湖の下にある“帯水層”が横に引っ張られると湖の水位は低下する。水位の変化は、マグマの動きによる地殻変動によって起きているのではないか?」という見解を示しています。

どちらが正しいかはわかりませんが、これだけ大きな変化が起きているので、何か見えないところで大きな動きが始まっているのは間違いないとは思います。

ただし、それが富士山の噴火なのか、それとも再び大地震の兆候なのかはわかりませんし、そして時期も直近なのか、それとも何年先なのかもわかりません。

そこで、もう少し、この問題に関して詳しい専門家の意見もご紹介しておきたいと思います。

それが以下の記事でも登場する琉球大学名誉教授の木村政昭氏です。

no title
※琉球大学名誉教授の木村政昭氏

「2015年までに富士山は噴火する」と琉球大名誉教授
琉球大学名誉教授の木村政昭氏は、富士山の北東側に"噴火の目"(通常規模の地震が明らかに増えた場所)があり、'11年+-4年の誤差で噴火が起きると予測。2015年までに富士山は噴火するという衝撃的な警告を発した学者だ。

「"噴火の目"の場所はまだ変わっていません。この間、中央高速の笹子トンネルの天井板が崩落しましたが、あのトンネルも噴火の目の方向にあるんです。富士山の深いところにマグマが上がってきて、その付近の地殻に亀裂が広がれば、上から吊り下げてあるものは落ちちゃいますよね。それを指摘する人は誰もいませんが、私はそれも可能性のひとつだと思っています」

「2015年までに噴火」を裏付ける予兆として、木村氏は富士五湖の水位の変化をあげる。3.11の際、富士五湖のひとつである西湖の水位が1メートル上がった。地震によるマグマの上昇で、山頂近くにある永久凍土が解けて流れ込んだためだろうと木村氏は語る。湖底に亀裂が入れば逆に水位は下がるので、富士五湖の水位は重要だという。

また、「富士山周辺での水の流出量は、すでに1千万立方メートルを超えたはずです。溶岩なら大噴火に匹敵する量です」。この膨大な湧水を木村氏は「水噴火」とみなす。原理は通常の噴火と同じで、たまたま地下水の部分に圧力が加わっただけ。マグマ部分なら大惨事が起きていたかもしれないという。

「次に噴火するのは北東側が危ないと見ていますが、同時に富士山の山頂火口から噴火する可能性もあると見ています。火山性の地震が増加し、震源が浅くなってきているからです」(木村氏)
(週刊FLASH 12月24日号 転載終了)

この琉球大学名誉教授・地震学者である木村政昭さんとは、過去に「阪神淡路大震災」「新潟中越地震」をはじめとした数々の巨大地震や噴火を「事前予告」してきたことで知られている方です。

0001
※画像は木村教授が解析を行った「富士山 噴火の目」。
「目」の状態から2015年までの富士山の噴火を予想。


木村教授の予測方法は「地震の目」「噴火の目」と呼ぶ、地震規模(マグニチュード)のかなり小さな地震が「ドーナツ化現象=目」を起こす地域を独自に解析する手法です。

「ドーナツ化現象」が出来る位置を確認して地域を特定し、「目の大きさ」でマグニチュードも予想します。

この手法によると「巨大地震の8割は事前(約3年前)に予想出来る」と木村教授は伝えているようです。

実際に「東日本大震災」に関しても、東北沖に複数の「巨大地震の目」を事前に指摘しており、時期は1年ほど遅くなりましたが、規模もM8以上ということで、3年以上前から東北沖での大地震を見事に予測していました。

その木村教授が2000年に入った頃より「富士山噴火のへの動き」を感じ取っており、これが2009年には「確信」に変わったようです。

それは、画像にあるような「噴火の目」がはっきりと出て来たからのようです。つまり、富士山の噴火に繋がる微弱な地震活動が特定のエリアで活発化しているということです。

また木村教授は、著書の中では「噴火の目」以外の前兆現象についても指摘しています。

03

●「富士山とつながる火山のあいつぐ噴火」
近年、三宅島、伊豆大島・三原山、伊東市沖合の手島海丘が次々に噴火している。これらはすべて富士山と同じフィリピン海プレートにある火山。富士山と兄弟のような関係にある火山が、富士山に向かうように、南から北へと火山活動を活発化させている。

●「マグマの動きを示す富士山低周波地震」
富士山では、2000年に低周波地震の回数が増えた。そして沈静化後、2008年から再び増えている。これはマグマが浅いところまで上がってきていることを意味する。

●「“噴火の目”理論から見た富士山噴火予測」
富士山北東部には「噴火の目」が1976年から現れている。この「目」からすると、1976年±35年の2011年±4年の間に噴火する可能性が高いという分析結果になる。誤差を考えても2020年までに噴火する可能性を考えている。

●「富士山マグマだまりでの大地震」
2011年3月15日に富士山のマグマだまりがある(と推定される)場所でマグニチュード6.4(富士宮市で震度6強)の大地震が発生した。震源の深さから推定すると、深さ10km程度までマグマが上昇している可能性がある。

●「富士山マグマ膨張にともなう周辺部の地震」
富士山を中心とした同心円上&放射状に、山梨~神奈川~静岡で地震が発生している。おそらく、マグマの膨張に伴う亀裂に関係している。

このように富士山の噴火予測においては、プロ中のプロである木村教授が、昨年末の時点で「湖底に亀裂が入れば逆に水位は下がる」と伝えているので、そう考えると、現在起こっている河口湖の水位低下は、やはり富士山の噴火と関連性が高い事象であると思われます。

01
※1707年に発生した宝永大噴火

直近で富士山が噴火をしたのは、今から306年前の1707年に発生した「宝永大噴火」の時です。この噴火は、三連動(東海・東南海・南海)地震である「宝永地震」が発生した49日後に起こっています。

そのため、富士山噴火と東海地震はセットで語られることが多く、今回の富士山の噴火も、噴火の1ヶ月半前に南海トラフでの大地震が発生する可能性が強いと指摘されています。

しかし、通常は噴火と地震というのは、セットでは起こらない自然現象となっています。

それは地殻に溜まったエネルギーを解放するのが地震や噴火の役割であり、大きな地震が発生すれば、それでほとんどのエネルギーが解放されるので、地震が発生した近郊のエリアでの噴火は抑えられるか、もしくは小規模な噴火に留まります。

事実、1707年に発生した宝永大噴火の時は、すでに宝永地震でエネルギーが解放されていたので、富士山の噴火は、灰を吹き上げるだけの穏やかな噴火だったともいわれています。

一方で、今回想定される富士山の噴火は、この地震活動とは無関係に発生する「プレートエネルギーの解放」の噴火の可能性が高く、その場合の噴火は溶岩を噴き上げる激しい噴火が起きます。

また、このケースの噴火の場合は、地震活動と無関係に発生するだけでなく、逆にプレート同士のせめぎ合いが限界を迎えたことの意味でもあり、その場合は、南海トラフでの連動地震や首都直下型地震などの関東大震災へと繋がる可能性もあります。

どれが先に起こるかわかりませんが、この3つは、いつ起こってもおかしくはないタイミングには差し掛かっています。

そこで、まずは富士山の噴火について、現在予測されている限りの「ハザードマップ(被害範囲の地図化)」を簡単にご紹介しておきます。

003
※左上のちょうど方位マークあたりが八ヶ岳南麓

まず、富士山の噴火で一番一般的な被害であり、前回の宝永大噴火でも江戸にまで大きな影響を与えたのが「火山灰」となります。

現在出されているハザードマップでも、やはり東京を中心とした首都圏方面に流れていく予想がされており、逆に富士山のある山梨県や静岡県では、ほとんど影響のない地域もあります。

先日ご紹介した「八ヶ岳南麓」も、一応は影響を受けないエリアであると予測されています。

富士山麓には、過去の噴火によって灰の下に埋まった村なども存在しており、「村」という地名がついているのに地表には何もない地域(森林や原野)などは、地面の下に昔に存在していた村が今も眠っているようです。

02
※噴石のハザードマップ

火山灰の次は、噴火の威力で火口から飛ばされる岩の破片や軽石である「噴石」の影響です。

2000年に発生した北海道の有珠山噴火では、直径数十センチの噴石が火口から約一キロ離れた保育園の屋根を直撃したりと、この噴石も富士山が噴火した際には多く飛び散ることが予想されています。

しかし、先ほどの火山灰に比べたら一気に影響を受ける地域の範囲は狭まり、主に富士山近郊の山梨県と静岡県が被害の中心となります。

特に火口から半径二キロ以内には、大きな噴石が大量に落ちる可能性が高いようです。

ただ、現在予測されているハザードマップによると、この噴石による被害は、主に富士山の北西方向や南東方向が大きく、ここ河口湖などの地域には、ほとんど影響はない予測となっています。

宝永大噴火の時では、噴火地点に近かった静岡県の須走村(現在の小山町須走地区)で、全七十五戸のうち、三十七戸が噴石によって焼失し、残りの三十八戸もすべて倒壊したという記録が残っているようです。

004
※溶岩流のハザードマップ

最後に「溶岩流」の被害予測についてです。溶岩流とは、火山の噴火に伴って、地下のマグマが液状の溶岩として地表に出現し、低地へと流出する現象です。

これも噴石と同様に、富士山近郊の限定的なエリアだけの被害になりますが、意外にも溶岩流は、時間をかけても広範囲へと流れ込む可能性があり、ここ河口湖のあたりにも届きそうな雰囲気があります。

いずれにしても、富士山の噴火とは、こういった気体・固体・液体のような、種類の違う様々なタイプの被害が予想されており、今のうちから、あらゆる状況が発生しても対応できるような準備は進めておく必要があります。

また、経済的な被害ばかりが報道されていますが、まずは命あっての話であり、噴火直後の被害だけでなく、噴火が始まりで、そこから発生する様々な二次被害が日本全体を襲うのにも注意する必要があります。今回のハザードマップとは関係のない地域にも、大きな影響がやって来る可能性が高いです

特に首都が機能しなくとなると、今の日本は心肺停止のような状況になってしまい、地方にも大きなダメージを与えることになります。

果たして2015年までに富士山が噴火するかどうかはわかりませんが、10年、20年先ではなく、すでにカウントダウンの段階にまで入っているのは間違いないと思います。

あとは噴火するにしても、なるべく小難になるよう祈るだけでなく、具体的に社会構造も変えて自然災害にも対応できるように調整していく必要もあります。