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みなさん、サワディーカップ(こんにちは)。

ただいま、タイのバンコクのスワンナプーム国際空港でインドへの乗り換え待ち中です。

スワンナプーム国際空港のターミナルビルでは、なんとも立派なディスプレイが待ち受けていました。

蛇のような龍を両端から引き合っている綱引きの光景。

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これは、ヒンドゥー教における天地創造神話の「乳海攪拌(にゅうかいかくはん)」という物語を再現したディスプレイのようです。

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乳海撹拌のあらすじ
太古、不老不死の霊薬アムリタをめぐり、神々とアスラ(悪鬼)が壮絶な戦いを繰り広げていたが、両者は疲労困憊し、ヴィシュヌ神(世界の維持神)に助けを求めた。それを受けて、ヴィシュヌ神はこう言った。

「争いをやめ、互いに協力して大海をかき回すがよい。さすればアムリタが得られるであろう」

それを聞いた神々とアスラたちは、天空にそびえるマンダラ山を軸棒とし、亀の王クールマの背中で軸棒を支え、それに大蛇を巻きつけて撹拌のための綱とした。

神々がその尻尾を、アスラたちがその頭をつかんで上下に揺さぶり始めると、すさまじい炎とともに漆黒の煙が大蛇の口から立ち上り、そこから雷雲が生じて大雨を降らせ始めた。
だが、肝心のアムリタは出てこなかった。神々とアスラはさらに大海を撹拌し続けると、大海はやがて乳海となった。

しばらくして良質のバターであるギーが湧き出て、そこからヴィシュヌ神の妃ラクシュミー、ソーマ(神酒)、太陽、月、宝石、家畜、白馬などが次々と現れ、ついにアムリタの入った白い壷を手にした医の神ダンワタリが姿を現した。

ここから、アムリタをめぐる争奪戦が始まった。

アスラたちは、なんとかしてアムリタと女神ラクシュミーを奪い去ろうとしたが、ラクシュミーに姿を変えたヴィシュヌ神が近づき、その美しい姿で欺くと、アスラたちはラクシュミー女神に化けたヴィシュヌ神にアムリタを渡してしまった。

騙されたことに気づいたアスラたちは、神々を追いかけ始めたが、ヴィシュヌ神からアムリタを受け取った神々は、分け合って飲み出した。

その中に、神に化けたラーフというアスラがいた。ラーフがアムリタで喉を潤そうとした瞬間のこと、太陽と月がそれを見破ってヴィシュヌ神に知らせると、ヴィシュヌ神はラーフの首めがけて円盤を投げつけ、ラーフの首を切り落としてしまった。

すると、断末魔のような叫び声とともに、頭だけが不老不死となったラーフの首は天空へ舞い上がった。このときから、ラーフの首と太陽・月との間には憎悪が生まれ、ラーフが太陽と月を飲み込む度に日蝕と月蝕が生じるようになった。

一方、アムリタの争奪を繰り広げていた神々とアスラだが、ついにはヴィシュヌ神の力に圧倒されてアスラたちは逃げ去り、アムリタは神々のものとなった。

神々(正義)と悪魔(悪)による共同作業による天地創造。

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陰と陽の統合によって物質が生まれる、まさにフリーエネルギー理論にも近いものですし、何よりも大海をぐるぐる攪拌して万物を生み出すという神話は、まさにここ日本のイザナギ、イザナミの国生み神話そのものであり、改めて世界の神話と日本の神話の共通性には何かシンクロを感じさせられます。

ちなみに、綱引きに関わる神話も日本にはあり、それは出雲風土記の「国引き神話」です。

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出雲風土記 国引き神話
昔々、出雲の創造神、八束水臣津野命は出雲の国を見渡して「この国は、細長い布のように小さい国だ。
どこかの国を縫いつけて大きくしよう」とお思いになりました。

そこで、どこかに余分な土地はないかと海の向こうを眺めると、朝鮮半島の新羅(しらぎ)という国に余った土地がありました。ミコトは、幅の広い大きな鋤(すき)を使い、大きな魚を突き刺すように、ぐさりと土地に打ち込み、その魚の身を裂いて切り分けるように土地を掘り起こし、切り離しました。

そして三つ編みにした丈夫な綱をかけて、「国来、国来(くにこ、くにこ)」と言いながら力一杯引っ張ると、その土地は川船がそろりそろりと動くようにゆっくりと動いてきて出雲の国にくっつきました。

こうして合わさった国は、杵築(きづき)のみさき【出雲市小津町から日御碕まで】になりました。
その時、引っ張った綱をかけた杭が佐比売山【さひめやま、現在の三瓶山(さんべさん)】で、その綱は薗の長浜になりました。

その後も、ミコトは北の方の国から同じように狭田(さだ)の国【小津から東の鹿島町佐陀まで】と、闇見(くらみ)の国【松江市島根町のあたり】を引っ張ってきてつなぎ、最後に北陸地方の高志(こし)の国から引っ張ってきた国が三穂の埼【松江市美保関町のあたり】になりました。

この時、ミコトが引っ張った綱をかけた杭は伯耆の国の火の神岳【ひのかみたけ、現在の大山(だいせん)】で、持って引っ張った綱は夜見の島(弓ヶ浜)になりました。

そしてミコトは「国を引くのが終わった」とおっしゃって、杖をおつきになって「おえ。」と言われたので、その地を意宇というようになりました。

出雲のルーツはインド。ヒンドゥー教。

ブラフマー:宇宙、世界に実存、実在の場を与える神
ヴィシュヌ:宇宙、世界の維持、平安を司る神
シヴァ:宇宙、世界を創造し、その寿命が尽きた時に破壊、破滅を司る神


これまでほとんど意識して来なかったヒンドゥー教の三大神と日本の神々との関係性も気になるところです。