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未来のミライ(あらすじ)
とある都会の片隅の、小さな庭に小さな木の生えた小さな家―ある日、甘えん坊の男の子・くんちゃん(上白石萌歌)に、生まれたばかりの妹がやってくる。両親の愛情を奪われ、初めての経験の連続に戸惑うばかり。そんな時、くんちゃんはその庭で自分の事を「お兄ちゃん」と呼ぶ不思議な少女ミライちゃん(黒木華)と出会う。彼女は未来からやってきた妹ミライだった! 細田守監督の最新作は、小さな庭から時をこえる旅へ―それは過去から未来へ繋がる家族と命の物語。

この夏に公開されたばかりの話題のアニメ『未来のミライ』を観ました。

監督は「ポスト宮崎駿」と期待されている細田守監督。

細田監督は、「時をかける少女」(2006年)で一躍有名となり、次に「サマーウォーズ」(2009年)、そして「おおかみこどもの雨と雪」(2012年)「バケモノの子」(2015年)と3年おきに次々にヒットアニメ映画を世に出しています。

今回の「未来のミライ」も、3年ぶりの最新作として大変注目されていましたが、いざ蓋を開けてみると、公開されて早々からの酷評ラッシュ・・・。

「独身者はこの映画を見ても何一つ得るものは無い」

など、特に独身のファンからは、かなり厳しい評価となっているようです。

確かに表面的には、家族愛を大きなテーマにした映画なので、子育て中のお子さんのいる親が見ると

「(こういう場面)あるある・・・」

と頷く場面がいくつもあると思います。

それはそれでよく現代の子育て世界を観察されている映画であって、個人的には面白かったですが、ただ映画全体の感想としては、正直“普通”だったかなと思います。

“未来からの使者”ということで、かなりスピリチュアルな映画を期待した人からすると期待はずれな部分もあったかもしれませんが、ただ、この映画は単なる家族愛がテーマではなく、むしろ今の時代にもっとも必要な「インナーチャイルドの癒し」も潜在的なメッセージとして組み込まれている映画であったと思います。

少しネタバレにもなりますが、物語は、未来からの使者というよりも、4歳の子供が時空間を超えて様々な時代の人々とコンタクトするもの。

その中で

「自分が親から言われていること(言葉)は、自分の親もまた親から言われてきたこと(言葉)」

だと知ります。

それは子供の叱り方だけでなく、子供の褒め方、愛し方そのものも・・・。

そんな場面を見た時、今年に入ってからも一段と話題のつきない「幼児虐待」のニュースが頭をよぎりましたが、虐待もまた、親から子へ、またその子が親となって子へと、負の連鎖を繰り返していくものとされています。

虐待事件が起こる度、その当事者が悪いのか、その親が悪いのか、その親のまた親が悪いのか・・・遡るときりがなく、現代の虐待問題は、一筋縄ではいかない根が深い問題がいくつも関わっているように感じています。

いずれにしても、今の大人達も、見た目は大人になっているようで、身体の内側には、インナーチャイルドとも呼ばれる幼少期の“わたし”がまだいて、そのインナーチャイルドの“わたし”が表に出ると、出方次第によっては大きな問題を引き起こしたりもします。

どんなに嫌な家族でも、どんなに苦手な相手でも、その人にもインナーチャイルドがいて、そのインナーチャイルドを生み出すことになった幼少期もある。もちろん自分自身にも。

映画のように、タイムスリップをしてそれぞれの時代に遡って、その人の過去を覗き込むことができたら、相手に対する理解ももっと深くなるのかもしれません。

ふと、そんなことを気づかせてくれる映画でもあったように思えます。

他にも、タイムスリップで過去を旅することで

「今のわたしが存在する」

のは、先祖から受け継がれてきた様々な偶然のような必然の連続であることを知ると、そのどれか1つでも欠けていたら、今の自分自身は存在できなかったと主人公は知ります。

まさに1人ひとりは奇跡の集大成であり、また何気ない日々の暮らしがまた、次の奇跡へと繋いでいっています。

どうしても日常に追われてしまうと、今目の前のことにして意識が向かなく、過去と未来における今の自分の繋がりが見えなくなってしまいますが、この映画は、そんなことも重要なテーマとして扱っているように思えます。

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実は、細田守さんの映画は、すべて観たことがあるのですが、個人的にもっとも楽しかったのは、なんといっても「時をかける少女」

人生を何度もやり直せる「タイムリープ」の能力を持った少女の不思議な物語。

途中まさかの展開もあり、期待しないで観ていただけあって、ワクワク・ドキドキとても面白い映画でした。

他の映画も一通り観ましたが、ポスト宮崎駿と言われるには、ちょっとジブリ系とも深みが違っており、また『君の名は。』に比べると、やはりまたちょっとテイストが全然違う映画ばかりだと思います。

でも、どれもそれなりに個性的であって面白いと思います。

夏休み、ご興味あれば「未来のミライ」も是非どうぞ。