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3月下旬に訪れたバリ島では、現在世界が注目する学校「グリーンスクール」を訪れました。

ウブドから車で30分ほどの村のジャングルの中にあるグリーンスクールは、バリ島でジュエリービジネスを大成功させたカナダ人のジョン・ハーディが、

『接続可能な社会を担う、次世代のリーダーを育てる学校』

として2008年に設立したインターナショナルスクールです。

開講から10年以上が経過した今、3歳(幼稚園)から18歳(高校生)の子供たちが約500人ほど世界中から集まってきており、バリ島のジャングルの中で学んでいます。

ひと昔前までは、応募すれば誰でも入れるほど余裕があったみたいですが、現在は世界中から入学を考えている人が増えており、ある程度の英語スキルがないと、高校などは入学できないほど倍率が上がっているようです。

行けば誰でも見学できる場所ではなく、セキュリティが非常に厳しいので、敷地内に入るゲートには必ず門番の方がいて、学校見学するには事前に予約が必要となります。

見学は有料で、学校のスタッフの方が英語で敷地内を案内するキャンパスガイドツアーは、午前9時から11時までの2時間の施設見学で大人1人2000円くらい、小学生以下は600円くらいです。

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さらに曜日別のオプショナルツアーみたいなものもあり、それは11時30分から13時頃までで、学校で実際に生徒が食べるランチ付きで大人3500円、子供1500円ほどです。

今回は両方とも予約し、施設全体の見学をした後、曜日別ツアーでは敷地内にある祈りの場で生徒と一緒にお祈りをする体験をしました。

なお、建物や風景は大丈夫ですが、学生やスタッフを撮影してはいけないので、その辺のセキュリティやプライバシーもとても厳しい学校ではあります。

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敷地内に一歩入ると、そこは1つの村のような学校とは思えない雰囲気が漂っています。

印象的だったのは、生徒の数も大量で賑わっていましたが、とにかくあちこちにスタッフも配置されて何か仕事をしており、たくさんの大人が関わって学校運営をやっているように見えました。

いくら人件費の違いがあるとはいえ、これだけの人数で経営をやっていくとなると、やはり運営費も馬鹿にならないもので、ここの学費が年間150万から200万(学年によって異なる)というのも頷ける気がします。

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カフェや物販のお店もあり、また近所のオーガニックファームで採れた新鮮な野菜や果物も学校内で販売されていました。

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やはり、グリーンスクールといえば、最大の特徴の1つは、バンブー(竹)で作った素晴らしいデザインの校舎であると思います。

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グリーンスクールの中身の教育内容も興味ありましたが、個人的には、このバンブー校舎を一目見てみたいと思っていたので、念願が叶って嬉しかったです。

実際のバンブー校舎は、想像よりも大きく、そして日差しも防いでくれて風通しも良く、とても気持ちの良い空間でありました。

ただ、実際にグリーンスクールで学んでいる生徒の中では、照明がないので暗いことや、5年に1度は屋根の葺き替えが必要であり、デザイン性を重視して、あまり機能性や経済的でないと問題視している声もあるようです。

とはいえ、インパクトは絶大であり、このバンブー校舎に惹かれて訪れる人も多いと思うので、学校のプロモーションとしては非常に上手くいった建築物であると思います。

この学校のシンボル的なバンブー校舎は、主に高校生達が授業を受ける施設であり、小さな子供達はまた別の校舎に分けられてそれぞれ学んでいます。

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「接続可能な社会」をテーマにしているだけあって、環境に関わる取り組み、教育はいたるところに見受けられます。

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インドネシア、バリ島でも大きな問題となっているゴミ問題に対して分別してリサイクルを心がけたり、トイレもコンポストトイレで、おが屑のようなもので最後は処理をして発酵させ、それを堆肥として敷地内の畑などに活用しています。

エコ、循環という視点においては、もちろん素晴らしい取り組みですが、やはりこの辺も生徒の中では、改善点がまだあるという指摘もあり、コンポストトイレも原始的で、堆肥化するまで非常に時間がかかるので、もっと良い方法に変えた方が良いという提案もあります。

今回、グリーンスクール卒業生のお話を聞いたりする機会にも恵まれましたが、グリーンスクリーンの子供達は、そうやって常に目の前のことに問題意識を持ったり、より良いものにするにはどうしたら良いかと考える視点が本当に素晴らしいと思いました。

学校自体、エコや循環というコンセプトは素晴らしいものの、施設の設備、システムにおいては極めてシンプルで原始的なものが多く、日本にある様々な技術と組み合わせたらよりハイレベルなエコスクールになるのでしょうが、それよりも、子供達がそこに満足せず、大人よりも学校の問題、世界の問題に意識を高く持っているので、確実に

『接続可能な社会を担う、次世代のリーダーを育てる学校』

という理念は実現していると感じました。

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落ち葉などを堆肥にするコンポストステーションもあったり、魚が泳いでいる池の水と水耕栽培を組み合わせたアクアポニックスの施設もあったり、とにかく循環をテーマにした取り組みは多種多様です。

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ヨガをする施設もありました。

ちなみに「全員瞑想時間がある」ということも話題になっていましたが、これは1日のうちに1回だけで、それも午後14時にチャイムがなって1分間ほどの時間であるそうです。

イメージよりも少ない印象でしたが、それでも先生も含めた全員が手も足も止めて、その場で立ったままでも座っても良いので、静かな時間を過ごしてリセットするようです。

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これは小学生の子供達の発案で生まれた養鶏システム。

ただ鶏を育てて、卵が生まれるのを観察するのではなく、グリーンスクールの面白いところは、その卵をどうやって流通して販売するかまでの、生産から販売までを教育の中で一貫してやっているところ。

命の循環を学ぶだけでなく、やはりビジネスマンが生み出した学校だけあり、小学生からビジネス感覚を学ぶ教育を徹底されています。

これに限らず、生徒発案のスモールビジネスプロジェクトは無数にあり、在籍中にとにかくビジネス感覚を自発的に実践を通して学べる環境があります。

この辺りは、単なる自然学校とはまた違ったグリーンスクールの大きな特徴かもしれません。

お金を稼ぐ仕組みを学びながらも、環境のことも学ぶ。

その結果、卒業生達がベンチャー企業などを立ち上げても、多くが環境問題に関わるビジネスだったり、環境に配慮した事業モデルとなっていくようです。

なんだかんだ資本主義経済、貨幣経済の世界においては、お金の持つ力、企業の持つ影響力というのは大きく、そんなビジネスマン達が、世界中に増えていったら、将来の地球社会と環境は大きく変わるかもしれませんね。

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このドーム型のような小さな建物は、高校生が発案した雨水などを集めて発電する仕組みになっているだとか(詳しくはわかりませんが)。

とにかく、日本の一般的な学校教育とはまったく異なっており、授業は大学のように選択する単位制であって、実践を通して多くの知識や技術、経験を身につけられる学校のように感じました。

もちろん、まだ10年ちょっとの学校なので、これから先にまだまだ発展するのでしょうが、ここを卒業した子供達が今後どういった活躍するのか本当に楽しみです。

第二号となるグリーンスクールは、もう少し先にニュージーランドで開校されるようです。

ニュージーランドも完成したら一度見に行ってみたいと思います。

そして、日本には日本にあった形の学校、八ヶ岳には八ヶ岳にあった教育ができる場を構築していきたいと思います。