八ヶ岳宇宙学校は、農業を主体に様々な“体験”を通して宇宙の叡智を学ぶ場。
その中でも年に二回開催される「山プログラム」は、とても人気な講座であり、たった1回の山体験で意識も人生も大きく変わっていく人々がたくさんいます。
2019年は、7月の土砂降りの瑞牆山雨登山に続き、9月は南八ヶ岳周遊スペシャルコース。
参加者は総勢30名。
30名全員を無事に山へ導くのは容易なことでもなく、綿密にスケジュールやスタッフの配置、プログラム内容も考え、あとは常に祈っていました。
まずは標高1560mの観音平の登山口から始まり、2524mの編笠山の山頂を目指し、その後に2400mに位置する天空の居酒屋「青年小屋」に一泊。
朝10時30分から登り始め、全員が無事に編笠山へ登頂、16時30分には青年小屋に到着。
初日だけで6時間の登山はかなりハードであったと思います。
ただ、夜は標高2400mまで到達したご褒美に、山の聖者とも言える森井啓二先生による「山」に関わる特別講義。
2時間半、全員がテーブルを取り囲んで一語一句を聞き逃さないように真剣に聞き入るほど、その内容は大変素晴らしいものであり、生涯忘れることのできないほどのスペシャルな時間でありました。
そこでは、古代よりイエス・キリストや空海を始め、聖者がなぜ山にこもって修行をするのか、修験道における最も核となる秘技の基礎知識と実践の導入ワークを教えていただきました。
それは、1万年以上前のヨギー達から伝わる秘伝。
この物質世界から光の世界、光の世界のまた大元の世界へ繋がる叡智そのもの。
この叡智は、言葉だけ、情報だけでは理解するのが難しく、場合によっては間違った解釈ともなったりする危険性もあり、基本的には山に共に入り、実践を通しての伝授となるようです。
呼吸法、体の筋肉の使い方、意識の置くポイント、そこから見えてくる「いし(一四)」の光の世界。
それら1つひとつは、どんな本を読むよりも貴重な叡智であり、自分自身も長く先生と一緒にいながらも、初めて知ることも多く、ここまで開示してくれたことに心から感謝であります。
とにかく、森井先生は「実践」が大事としきりに仰っていたので、夜になかなか寝付けない自分は夜中に1人で山小屋脱出。
ちょうど、この日は満月の翌日であり、山の中で満月の光を浴びながら歩く「ムーンウォーク」もまた、大変素晴らしいものだと伺ったので、そのまま月明かりに照らされながら西岳という山を登ってきました。
山頂にちょうど良い瞑想岩があったので、そこで教わったばかりのプラーナを取り入れるワークや瞑想を実践。
途中、山の天気が荒れて暴風・暴雨に見舞われながらも、プラーナに満ちて、気が流れると体も心も常に安定してエネルギーに満ちていることを体感できました。
森井先生は、こうやって体感温度マイナス40度の冬山の山頂でも凍死することなく平常心で瞑想をしているので、それは次元が違う世界ですが、少しずつ自分なりの実践と探求を続けていこうと思います。
未明に山小屋に戻り、そのまま6時30分から団体登山2日目スタート。
いよいよ古代より日本最大の聖地と言われる標高2715mの権現岳山頂へ向けて出発。
2日目は途中から天気が荒れ、雨と風が吹き荒れる天候となりました。
これもまた前夜に「風」と「水」のエレメントの業の話も伺っていたので、起こる現象1つも貴重な体験として捉え、天候に対する受け取り方もかなり変わったと思います。
こんな天候下の中、一歩滑らせたら崖の下という危険な鎖場もあり、ここはさすがに足がすくんで動けない人もいるかとは思っていました。
ただ、これもまた前夜に森井先生のお話で、恐怖や不安は、頭の中の思考が生み出す幻想であり、「地」と繋がり、ハートに意識を持っていくことで、ネガティブな思考を切り替えることができると教わり、見事に全員が無事にスムーズに渡りきることができました。
本当に山は、様々な場面や環境において、実践による意識のトレーニングができる場所です。
こうして30名全員が権現岳山頂にも到達。
「火」のエレメントを司る磐長姫様、八雷神様の二神にもご挨拶をすることができ、また下山する頃には「水」の特性を持つ「火」の八ヶ岳と対となる富士山の姿も。
天気も晴れて「太陽(火)」の体験もでき、地、水、風、火のエネルギーを、僅かな山滞在でも感じて、残る「空」に少しでも繋がるきっかけとなったと思います。
八ヶ岳(権現岳)登山の正念場は、最後の長い下りにもあり、最終目的地の天女山へは果てしない道のり。
朝6時30分から登り始め、最後に全員が下山したのは17時頃。
2日間で合計17時間近く、山を周遊していたわけですが、登山初心者だけでなく、体力的に絶対に難しいと自負していたメンバーも全員が山頂まで行き、30名全員が無事に下山できたのは本当に感動的でした。
とはいえ、これまで瑞牆山や権現岳を100名以上お連れしていますが、今のところ途中リタイヤした人は0名。
「絶対に登れない」
とご自身も周囲が見ても難しいと思う人でも、山に入ると普段は眠っているスイッチが入り、あれよあれよと登り切ってしまう姿も数々見てきました。
「自分には無理」
「私の限界はここまで」
そうした思い込みやブロックを外してくれるのも山。
もちろん、山頂を目指すことがゴールでもなく、山に入るだけで得られる叡智は数多くあり、今後も森井先生に教わったことを実践しながら、1人でもご縁ある方々を山の世界に導けていけたらと思っています。