biosphere-2_orig

2001年に始まったイギリスの「エデン・プロジェクト」は、今もなお世界に注目される環境施設として存在していますが、その10年前の1991年に、実はアメリカで一足早く似たような施設が建築され、世界が注目する大プロジェクトが始まっていました。

img-2230_orig

その名も「バイオスフィア2 (Biosphere2) 」。

“2”という名称であるのは、バイオスフィア1は“地球”のことであり、バイオスフィア2とは「第二の生物圏」、つまりミニ地球とも呼べる存在になります。

バイオスフィア2は、総工費160億円をかけ、アメリカアメリカ合衆国アリゾナ州オラクルに建設されました。

53346a28a1796193dad0a9aa7ae9f156

ここでもまた、建築物のベースは、エデンと同じ三角パネルなどを利用したジオデシック・ドームの構造。

outside-view-legend

biosphere-map_orig

ピラミッドのような形の巨大施設は熱帯雨林温室、ミニドーム型のタワーは居住棟、大きなドームハウス は、日周気圧調整ドーム。

GettyImages-144084630

バイオスフィア2の建築の目的は大きく分けて2つ。

1つは地球環境保護。

環境破壊が問題となっている中、環境破壊を抑える手段が将来開発されても、バイオスフィア1である地球を使っての実験は問題となるため、バイオスフィア2のミニ地球で実験することによって、地球環境対策の具体策が生むことができる。

2つ目の目的は、月面や火星などでの恒久的な宇宙基地建設の技術開発。

長期間、または永久に人間が自給自足で地球からの資源、食品の補給なしに宇宙に住むことを可能にすることができる施設を生み出す。

636307958573123489-Biosphere-2-Inside-1024x538

これらの目的を研究するため、バイオスフィア2は、砂漠の中にそびえ立つガラス張りの巨大な空間に、熱帯雨林、海、湿地帯、サバンナなどの環境を世界各地から持ち込んだ動植物で再現しました。

30年近く前に取り組んだ、もう1つの地球創生の実験プロジェクト。

b2-crew_orig

Bio_G3

計画は100年スパンであり、2年ごとに8人の科学者達が実験的に閉鎖施設の中で自給自足の生き方と研究にチャレンジします。

農耕から牧畜はもちろん、水の自給だけでなく、植物も使って酸素の自給自足にも。

4人の男性と4人の女性。ノアの方舟と同じ組み合わせであります。

現代版ノアの方舟として、人類と地球の新たな可能性を秘めた大プロジェクトであったバイオスフィア2は、多くの期待が込められたものの、100年どころか、なんと最初の2年でプロジェクトは中止で大失敗。

まず計算では大気は一定の比率で安定するはずが、土壌中の微生物の働きまで計算することができずに、微生物の影響で施設内は深刻な酸素不足に陥ったそうです。

内部の科学者たちは、酸素不足から睡眠時無呼吸症候群などに苦しめられました。

一方で増えるはずの二酸化炭素も、一部が建物のコンクリートに吸収されてしまい、また日照不足で植物の光合成も行われず、結果的に植物は予想よりも遥かに成長せず、食糧不足の事態に。

家畜の多くも死に絶えてしまい、コーヒーが、2、3ヶ月に1度ほど少量だけ収穫でき、それに科学者達は狂喜したというから、かなりの異常事態となっていたようです。

また、植物も育たず、食糧危機という環境面の失敗だけに留まらず、内部にいた8人男女の科学者達も内部分裂することになり、本来は助け合わなければいけない人間さえも循環しないという最悪事態で終焉することになりました。

大金もかけて、大掛かりな施設を作って、様々なテクノロジーを駆使しても、たった8人の人間も、またあらゆる生態系も短期間でさえ生存させることができず、いかに地球という惑星が、極めて優れた循環機能を持った閉鎖空間であるのかを知るきっかけにはなったようです。

ただ、最初から計画の詰めが諸々甘く、施設内の温度の上昇は防ぐすべもなく、冷却と照明に関しては外界からの電源供給に頼っているなど、そもそもエネルギーも含めた循環システムそのものも出来ていない中での実験でありました。

Bio_G1

バイオスフィア1となる地球は、閉鎖空間の宇宙船地球号。

そして操縦マニュアルがないため、これまで試行錯誤で操縦してきました。

これから必要なのはマニュアル作りのための実践であり、それぞれの地域と個人がバイオスフィア2となって、身近なところからの循環社会作り。

自然と共生してきた縄文人、砂漠を緑に変えるユダヤ人から学ぶことは多く、それらの叡智を引き継ぐ日本人が、この先の地球運営には非常に重要な役割を持っていると思います。