子どもたちの食を考える。

昨晩21時からは、恒例のオンライン配信の

「生きることの本質サロン」

に出演させて頂きました。

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メインゲストに、元農林水産大臣の山田正彦さんをお迎えして

「子どもたちの食を考える」

というテーマでトーク。

発達障がい、アレルギー、精神疾患などなど、近年の子ども達は不登校や引きこもりだけでなく、心身ともにバランスを崩してしまう子が急増している。

その原因には、様々なものが考えられるが、大きな理由の1つに"食"があるのでは。

小麦がもたらす弊害は、計り知れないほど大きなものであることが認知されつつあるのに、未だに給食にパンが多く出される学校もある。

「子どもたちに安全な食べ物を食べさせたい」

というのは、子育て中の親に限らず、大人や社会全体誰もが思うこと。

僕自身も以前より、それは重要なミッションだと思い、実際キブツ八ヶ岳コミュニティが掲げる10のミッションの4番目に

「(4)子どもの教育・食育への貢献」

というものがある。

では、具体的にどのようにして乱れてしまった今の日本社会の子どもたちへの食環境を整えるのか?

これは一言では解決できないほど、数多くの課題が山積みであり、一歩一歩あらゆる立場の人達が協力し合って社会を変えないと難しい点もあります。

一般的な小中学生であれば、外食はさておき、子どもたちが食事をする場所は、ほとんど自宅か学校の給食のどちらかとなります。

1日3食を基本とすれば、ほとんどの子どもは

*家庭食(2/3)
*給食(1/3)

となり、割合として多い家庭食育が健全となれば、多少学校給食が乱れていても、それをカバーできるかもしれません。

健全な食の概念も様々ですが、少なくとも

*無添加
*有機栽培(自然栽培も含む)

の食材・食品が、最低限の理想ではあるものの、それらは大いにコストが高く、子育て世代の家計には負担となるもの。

家庭食から改善していくのは近道のようで、家庭全体からすると、なかなか一歩が踏み出せない遠回りの道。

そうすると、大部分が税金などで賄ってもらえる

「給食」

を変えていくのが、結果的に多くの子どもたちの食環境を改善していく大きな一歩。

給食のメニューも多種多様であり、すべての食材を自然由来にするのは難しいですが、せめて最初にできることは、パンからお米、そのお米も有機栽培(オーガニック)であるものに切り替える。

今回のトークライブのメインは

「学校給食を有機栽培のお米に切り替えていくには、どうしたら良いか?」

がテーマの中心でした。

世界各地、アジアでも身近な韓国などをはじめ、オーガニック給食は、国家推奨のもと当たり前になりつつあり、ここでも日本は世界のなかでも大幅に遅れをとっている。

山田正彦さんのお話は、とても勉強になるものでした。

一方でまた、千葉県のいすみ市などの自治体では、学校給食を2015年から有機米に少しずつ切り替え、2017年には市内すべての小中学校で100%有機米給食を実現。

2018年から有機野菜の利用も増やしている。

こうした自治体が全国各地で少しずつ増えているのは、大きな希望ですが、日本を取り巻く給食問題は、市長などの一存だけでは解決できない。

給食の調理方式は、時代とともに大きく変わりつつあり、僕らが子供の頃は、学校の中に給食室があり、同級生のお母さんとかも当たり前にそこで働きみんなの給食を作っていた

*自校式(単独調理場方式)

であったのが、今の小学校は半分以上が

*センター式(共同調理場方式)

に切り替わっている。

学校の給食室は消え去り、地域エリアでまとめて地域の給食を作る大量生産タイプとなっています。

それなら、そのセンター式が変われば、まとめて多くの学校の給食が切り替わるので効率的かと思えば、大量生産は原材料のコストが大幅に下げられるメリットもあり、予算の世界で動いてる政治の世界では、国も自治体も予算不足で簡単には、このセンター式の中身を切り替えられない。

何より、その食材を決めたりするのは、委託された企業であり、その企業はすでに決まっている仕入れ先があるから、話はまたややこしい。

とはいえ、山田正彦さんのお話では、このセンター式をやめて、消えた給食室を復活させる学校も増えつつあるようで、まずはセンター式の中身を変えるよりも、それは可能性として高いのかもしれない。

さて、こうして多くの大人が子どもの食を考え、消費者(保護者など)と政治(国や自治体)が、いざ

「学校給食を有機栽培米で」

と推し進めたところで、もう1つ忘れてはならないのが

*生産者

のこと。

果たして農業人口が激減している中で、把握されている限り

「0.2%しか存在しないと言われる有機栽培農家(農地)」

で、日本の子どもたちの学校給食は支えられるのか。

「学校給食で使うからすべて買い上げます」

とは聞こえは良いけど、これまで格安の中の格安のお米を使っていたのに、いきなり高価な有機米が本当に買えるのか。

自然栽培農業なら、お米を市場で800円〜1,000円/kgで販売しており、とてもそんな価格では仕入れてもらえないと思いますが、500円以下ともなると、とても食べていけない自然栽培・有機農家もたくさんいます。

生産力と価格、それらをカバーできる仕組みも同時に進めていけないと、この給食問題を根本的に解決していくのは容易ではないこと。

もちろん理想を掲げたらキリがなく、今がレベル1のステージなら、いきなりレベル10を目指すのではなく、まずはレベル2を目指すところから。

ただ

「有機の落とし穴」

も見逃してはならず、慣行栽培(農薬・化学肥料)の農業よりも、使われている有機肥料によっては、地球環境も人間の健康も害してしまう有機栽培もあるのが実情。

ケミカルは割と早く浄化できるが、有機の毒は大地も身体も簡単には抜けずに蓄積される。

動物性の有機肥料においては、その動物が

「何を食べているのか?どんな薬を与えられているのか?」

が重要であり、遺伝子組み換えの飼料や抗生物質をバンバン与えられ、狭い飼育環境でストレスフルの動物の糞がベースとなると、せっかくの有機給食も

「レベル0」

と、今よりも悪く落ちて行ったら元も子もない。

流行りのSDGsの大義名分で、有機は進めやすい社会になりつつありますが、日本の有機と海外の有機(オーガニック)は、似ているようで別物であり、この有機の中身を精査することの大切さをゲストの岡本よりたかさんが伝えていたのは、さすがであり、とても重要なことだと思いました。

有機JAS認定だって、認定された農薬がたくさんあるので無農薬とは言えないしね。

だからといって、学校給食の有機米を中心としたオーガニック給食へ切り替える活動を否定するわけでも、絶望するわけでもなく、大きな一歩をまず歩むのは大賛成。

まずは生産者も消費者も政治家も

「知ること」

から、個人の一歩が始まり、その意識の変化から現実が変わっていきます。

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10月26日に東京は中野にて、これまでにない規模で

「全国オーガニック給食フォーラム」

というイベントが開催されます。

現地へ足を運ぶのはもちろん、アーカイブ視聴もできるので、是非とも1人でも多くの大人達が、子どもたちの食を真剣に考え、行動していけるきっかけとなれば。

八ヶ岳でコミュニティによる自然栽培をやるのは、この生産側の抱える問題を解決できるから。

農家への補助がなく、卸価格を下げられないなら、生産コストを下げるしかない。

農薬や肥料代がかからない自然栽培農家は、その代わりに手間暇がかかる。

手間隙=人件費

であり、この部分はボランティアや賃金に代わる対価を提供(収穫物のお裾分け、ウーフーシステム)すれば確保できる可能性があります。

個人農家で限界があるなら、これからは地域コミュニティの生産で、学校給食を支えるのも1つの方法。

それでも限界があるなら、常々伝えている

「企業の半農半X化」

であり、会社の中に農事業者や農業法人をグループで作ったりし、日本の農を支え、それが自然栽培や有機栽培であれば、 SDGsのPRにもなり、社食、お米や野菜の現物提供を福利厚生でやれば、給料が低くても、社員からは手厚い会社として離職率も減るかもしれない(オーガニック給食にすれば自治体は移住者は絶対増える)。

その生産活動で余る作物を学校給食に提供すれば、社会にもさらなる大きな貢献ができる。

レベル1から始まる日本は、まだまたやれることが山ほどあるのが幸いなこと。

「誰かがやってくれたら」

なんて呑気に傍観したいたら、小さな子どもはあっという間に大人になっており、自分自身だってあっという間に老後生活に。

「あと30年若ければ自分も活動できたのに」

と気づいてからは遅いし、またいくつになっても出来ることはたくさんあるので、思い立ったら今すぐ行動。

大人が変えなきゃ子どもの環境は子どもでは変えられず、環境が整えば、子どもたちは放っておいてもすくすくと心身ともにピュアに育つ。

まずは、何事も

「はじめの一歩」

から。